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2009年10月29日 (木)

演奏会に行ってきました「ヴァイオリンとピアノ夕べ(古橋綾子、下山静香)」

2009年8月11日(火)東京文化会館小ホール(東京メトロ日比谷線上野駅徒歩8分)

《プログラム》

W.A.モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ ト長調K.V301

ポフスラウ・ヤン・マルティヌー:ヴァイオリン・ソナタ第2番

ウジューヌ・イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第6番ホ長調作品27-6

マヌエル・デ・ファリャ/コハニスキ編:スペイン民謡組曲

マヌエル・デ・ファリャ:スペイン組曲

フランツ・シューベルト:ヴァイオリン・ソナタイ長調 作品162D574(二重奏曲)

ヴァイオリン:古橋綾子  ピアノ:下山静香

《ごあいさつ》 古橋綾子

 本日はお忙しい中、ご来場くださいまして誠にありがとうございます。沢山の方々に支えられながら続けてまいりりましたこのシリーズも八回目を迎え、これもひとえに皆様のお陰と感謝致しております。

 今年の4月には4年ぶりにプラハを訪れる事ができ、チェコのピアニストと共演させて頂き、新たな思いで深い貴重な体験とともに、EUに加盟し変動している国の様子をも感じ、又ヨーロッパの音楽の奥深さを新たに感じ取り帰ってくる事が出来ました。今回は、留学しておりました時にプラハの師匠について滞在させていただきました。思いで深いスペインの国の作曲家ファリャの作品を中心に、スペイン音楽のスペシャリストの下山静香氏をお迎えしてお贈り致します。

 アルハンブラ宮殿の近くに滞在し、シエスタのあるゆったりとした時間の中で、明るい空や海、豊富な魚介類やエキゾチックな建築物などまた新たな刺激を私に与えてくれました。その時支えてくださった方は残念ながらもういらっしゃいませんが、私はずっと感謝し続けることでしょう。

 毎回入れさせて頂いています無伴奏は、イザイがスペインの演奏家に献呈しました第六番を弾かせて頂きます。また留学先のチェコの曲は、今年没後五十年の記念の年にあたります、マルティヌーのあまり日本では演奏されていないソナタをご紹介させて頂きます。

 今まで同様群馬交響楽団、その他のご協力を得てこのコンサートを開催することができました事、また今まで師事して下さいました諸先生ら様々なご支援をくださった方々に心より感謝申し上げます。

 今宵のさまざまな国の音楽が皆様のお心にかないお楽しみいただければ幸いです。

《印象 感想など》

モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ ト長調K.V.301

《印象 感想など》

 H列26番。自由席。ピアノ:スタインウエイ。

 第1楽章 よく聴く曲。キレイな音のヴァイオリン。ヴァイオリンに刻むような素敵なメロディーがでる。ピアノもなかなか良い伴奏。素敵な二重奏。  第2楽章 ヴァイオリンとピアノがよく絡む。緩やかに歌う。心地よい音楽が流れる。

《解説》 渡辺和彦

 モーツァルトは1778年ころ、ドレスデンの宮廷で活躍していたヴァイオリニスト作曲家のJ.シュスター(1748~1812)が作ったヴァイオリンとピアノのためのソナタに刺激されて、俗称「マンハイム/パリ・ソナタ」をまたは「プファルツ・ソナタ」(K.301~306)を作った。このト長調のソナタはその第1作に当たり、同年2月マンハイムで成立をした。ただ一連のソナタの中で、この曲だけは、最初はフルート・ソナタとして創作され、途中からヴァイオリンソナタに変更されたようである。

 第1楽章 アレグロ・コン・スピリート、ト長調。ピアノを従えて冒頭からヴァイオリンが伸びやかなメロディーを歌って始まる。一見単純とはいえ、モーツァルト以外のの人には作り出せないすばらしい音楽である。

 第2楽章 アレグロ、中間部にト短調のシチリアーノをはさむト長調のロンド。主題が美しく、22歳のモーツァルトのみずみずしい歌が聴こえる。中間部のヴァイオリン・パートは、それまでのモーツァルトのヴァイオリン・ソナタと比べてかなり雄弁である。

ポフスラウ・ヤン・マルティヌー:ヴァイオリン・ソナタ第2番

《印象 感想など》

 

第1楽章 情緒のある曲。  第2楽章 ゆったりとしたメロディー。静かに閉じる。  第3楽章 ピアノがリズミックに出る。ヴァイオリンもリズミックに続く。

《解説》 渡辺和彦

 今年「没後50年」を迎えたチェコ生まれ、後にフランスやアメリカに移って国際的に活躍した作曲家、ポフスラウ・ヤン・マルティヌー(1890~1959)は、20世紀後半当たりから再評価が進み、演奏会でその膨大な作品群の一部がよく取り上げられるようになってきた。彼には「ヴァイオリンソナタ」が第1番(1929)から第3番(1944)まで3曲あり、これ以外に「ソナチネ」(1937)と習作的なヴァイオリンハ長調(1919)、同ニ長調(1926)も残されている。以上を合計すると全6曲。ほかにもあまりに作品が多く、しかも本人が自作に作品番号を付けなかったので、マルティヌー作品は後にベルギーの音楽学者ハルブライフ(1931~)H番号で区別・分類されることがある。今日演奏されるヴァイオリン・ソナタは第2番(1931作曲。1933パリで初演)にはには「H208)の番号が与えられている。

 この第2番は、後の第3番(H303)と比べると、楽章数が4つではなくて3つで、全体にコンパクトな作りになっている。前作の第1番(H182)で採用したジャズの要素は影を潜めている。技法が懲りすぎて“煩雑"にきこえることのある長大な第3楽章よりも、全体にスッキリして聴きやすく演奏時間も半分以下の12分前後とコンパクトにまとまっている。

第1楽章 アレグロ・モデラート。ほぼ古典的なソナタ形式に従ったニ長調の音楽で、展開部の途中で新しい動機も出現する。音楽の感触としては、1930年代に西ヨーロッパで流行した乾燥した新古典主義の作風だが、ヴァイオリンとピアノのやり取りにユーモアを感じさせたりする点が、いかにもマルティヌーらしい。

 第2楽章 ラルゲット。楽譜上では3拍子と2拍子が頻繁に交替する近代的な作りだが、実際にきこえてくるのはネオ・バロック風の変ロ長調、二部形式の音楽である。

 第3楽章 ポコ・アレグレット。ここは第1楽章以上に乾燥した新古典主義の音楽で、調はト長調が基本。ヴァイオリン・パートは速い進行や重音、フラジオレット(ハーもニクス)などが頻出して結構難しい。

ウジューヌ・イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第6番ホ長調 作品27-6

《印象 感想など》

 ヴァイオリンよく響いて歌う。高音が鳴る。

《解説》 渡辺和彦

 ウジューヌ・イザイ(1858~1931)は19世紀末から20世紀初頭にかけてのもっとも優れたヴァイオリニストで、ヴァイオリン演奏史に与えた影響は絶大。彼がリーダーとなった弦楽四重奏団のために作曲された名作も少なくない。作曲家としても重要で、代表作である「無伴奏ソナタ」作品27(全6曲)は、1924年に、シゲティの演奏するバッハを聴いて強い霊感を受け、短い時期に一気に書き上げられた。この曲集の中では第3番が有名だったが、1980年代からは他の5曲も頻繁に演奏・録音されるようになって今日にいたっている。

 第6番は、スペインのヴァイオリニスト、マニュエル・キロガ(M..Quiroga 1882~1961)に献呈されてている。キロがはかなりのテクニシャンだったらしく、難曲揃いの曲集の中にあっても、特に第6番は技巧的に難しい。主題にハバネラのリズムを採用するなどスペイン風の色彩も濃厚で、急速なオクターブ上昇や10度、ワンボウ・スタッカート、激しい音の跳躍などを次々と繰り出していく。曲は自由な三部形式の単一楽章で、アレグロ・ジュスト・ノン・トロッポ・ヴィーヴォの第一部と、アレグレット・ポコ・スケルツァンドの中間部、そして第三部からなる。

エマヌエル・デ・ファリャ/コハニスキ編:スペイン民族組曲

《印象 感想など》

Ⅰ スペイン情緒のある曲?ヴァイオリンのピチカートが印象的。  Ⅱ なめらかに音楽が流れる。  Ⅲ 弾むような演奏。ヴァイオリンの高音が印象的。  Ⅳ ピアノはリズミックナ演奏。ヴァイオリンはよく鳴る。Ⅴ Ⅵ  しなやかなテーマが流れる。

《解説》 渡辺和彦

 エマヌエル・デ・ファリャ(1876~1946)は、アルベニスやグラナドスと共に近代スペイン音楽再興の祖ともいうべき人で、スペインのフォークロアに基づく作品も多い。1914年作のソプラノ(またはテノール)とピアノのための「7つのスペイン民謡」もそのひとつで、これはのちに作曲者承認で名ヴァイオリニストのパウル・コハニスキ(またはコハンスキー。1887~1934))がヴァイオリン編曲版を作成した。

 ヴァイオリン編曲の際、全体は7曲から6曲に減らされ、メロディーもヴァイオリン演奏用に変更が加えられている。また終曲「ホタ」は、ピツィカートとアルコの交替、ポンティチェロ奏法(スル・ポンティチェロ=楽器の駒の上に弓を当てて金属的な音を出す特殊奏法)などによるエキゾティックな雰囲気と奇抜なリズムのために、ヴァイオリニストのリサイタルのアンコール・ピースにもなっている。①ムーア人の織物②ナナ(子守歌)③カンシオン(歌)④ポロ⑤アストゥリアーナ⑥ホタ、以上の6曲からなり、コハニスキ版で演奏する際はこの順番が原則だが、敢えてオリジナルの「7つのスペイン民謡」の曲順に近い形に戻すヴァイオリニストもいる。本日はコハニスキ版楽譜の通りの曲順で演奏される。

エマヌエル・デ・ファリャ:スペイン舞曲

 この曲はファリャの代表作とされるオペラ「はかない人生」(1904~05作曲。1903初演)の第2幕で演奏されるもので、一般にはクライスラー(1875~1962)によるヴァイオリンとピアノによる編曲で、いっそう親しまれている。作曲者自身によるピアノ編曲版もある。なお第2幕にはもう1曲別の「スペイン舞曲」も挿入されているので、区別するために、きょう演奏されるものを「スペイン舞曲第1番」、別の曲を「第2番」と呼ぶこともある。

 クライスラーによる編曲はモルト・リトミコ(非常にリズミカルに)指定、イ短調、8分の3拍子。かなり特徴のあるリズムのピアノ伴奏に乗って、ヴァイオリンがピツィカートなどを交えながら軽快に演奏していき、中間部ではハ長調に転換、さらに転調を繰り返していく。最初の部分が戻ってきてから先は第一部とはかなり変化があり、最後はイ長調による激しいffで終結する。あまり長くないが、一度耳にすると忘れられないスペイン情緒たっぷりの曲である。

フランツ・シューベルト:ヴァイオリン・ソナタイ長調 作品162 D.574(二重奏曲)

《印象 感想など》

 第1楽章 しっとりとした歌がテンポよく流れる。ピアノとヴァイオリンがよく絡む。  第2楽章 ゆるやかに歌う。ゆっくりと落ち着いたメロディー。  第3楽章 素敵なメロディー。見事な演奏。

《解説》 渡辺和彦

 フランツ・シューベルト(1797~1828)には、「3つのソナチネ」として知られる「作品137」ヴァイオリン・ソナタ集がある。(1816年)。その1年後、1817年に本格的なヴァイオリン・ソナタとして作曲されたのが、このイ長調の曲である。このソナタの初版楽譜の扉には「ヴァイオリンとピアノのための『デュオ』」と大書してあった。そのため、少し以前まではこの曲を「ソナチネ」と区別する意味で「デュオ」と呼ぶこともあった。

 第1楽章 アレグロ・モデラート、イ長調。のんびりとしたピアノの前奏に乗って、ヴァイオリンが歌い出す。ソナタ形式ながら、次々と新しい主題や動機が出てくる。なお楽譜の提示部には繰り返し記号がついている。

 第2楽章 スケルツォ、プレスト、ホ長調。第1楽章がイ長調で、第2楽章がホ長調という調関係は、ハイドンなどには先例があるが、続く第3楽章の調も考慮すると、かなり珍しい選択で、いかにも「ロマン派」的といえる。

 第3楽章 アンダンティーノ、ハ長調。変奏曲。ハ長調で主題がスタートし、その後に調が移ろっていくところなど古典派の変奏曲のセオリーから逸脱しており、ここもロマン派的である。主題はほとんどドイツの民謡の感じで、最後はまたハ長調に帰っていく。

 第4楽章 アレグロ・ヴィヴァーチェ、イ長調。ソナタ形式による簡潔なフナーレ。

《プロフィール》

ヴァイオリン:古橋綾子

 桐朋学園大楽付属「子供のための音楽教室」、桐朋女子高等学校音楽科、桐朋学園大学を経て同大学研究科修了。

 1995年4月群馬交響楽団入団。

 1995年秋より1年間チェコ共和国プラハにおいて、ヴァチスラフ・ノボトニー氏に師事し研鑽を積む。今までに故平田忠、鈴木愛子、故江藤俊哉、江藤アンジェラ、アナ・チェマチェンコ、リン・ブレックスリー各氏に師事。ジェラール・プーレ、ピエール・アモイヤル、アレキサンドロ・モッキア(古楽器)各氏のマスターコースを受講。室内楽を岩崎叔、三善晃、故北爪利世、青木十郎各氏に師事。

 スイス・レンク音楽祭、アメリカ・ボゥドイン音楽祭、草津国際音楽アカデミー、京都フランスアカデミーなど国内外の音楽祭にてマスターコースを受講。・・・・・

 2003年8月草津で行われたベートーヴェン・フィルハーモニーソリストオーデイションにて二位(一位なし)受賞。・・・・・

ピアノ:下山静香

 桐朋女子高等学校音楽科、桐朋学園大楽卒業。同室内楽研究科修了。1999年文化庁派遣芸術家在外研修員として渡西、故R.M.クチャルスキのもとで研鑽。マドリード市立図書館、リエージュ(ベルギー)など各地でのコンサートに出演。その後マシャール音楽院、(バルセロナ)にてC.ガリガ、故C.ブラーボ(モンボー夫人)、A.デ・ラローチャに師事。・・・・・

 東京藝術大学・音楽環境創造科、桐朋学園音楽学部各非常勤講師。

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