千里バッハ合唱団オーケストラ演奏会 J.S.バッハ《ロ短調ミサ曲》(2009-33)
2009年8月1日(土)午後5時開演紀尾井ホール(JR・東京メトロ四谷駅 上智大学前ソフィア通り徒歩8分) 千里バッハ合唱団オーケストラ演奏会。
学生時代の混声合唱団の奥様がソプラノで歌っており、聴きに行きました。
《プログラム》
J.S.バッハ:《ロ短調ミサ曲》
ソプラノ:松田真由美 アルト:上辻静子 テノール:井場謙一 バス:小玉 晃
合唱:千里バッハ合唱団 管弦楽:千里バッハオーケストラ オルガン:田中影代
指揮:八木宣好
《ごあいさつ》 千里バッハ合唱団 千里バッハオーケストラ
本日は、千里バッハ合唱団オーケストラ演奏会にご来場賜りまして、まことにありがとうございます。バッハをこよなく愛し、バッハのオラトリオ作品に魅せられた面々がステージに上がります。およそ110名超のメンバーが「ロ短調ミサ曲」を歌い上げます。この大所帯は、さすがのバッハさんも作曲当時の想定の範囲をはるかに超えているのではと思いますが、それだけにバッハファンが多い証しとも。
この度は2回公演を計画し、団創立以来初めて東京公演を実現しました。大阪(大阪厚生年金会館芸術ホール)と東京の2回の演奏会を大成功させたいと団員一同心から念じ練習に励んで参りました。さいごに、今日ここにお運びくださいました皆様方に厚く御礼申し上げ、今後とも私どもを温かく見守って下さいますようお願い申し上げる次第です。
《印象 感想など》
私の席:BR1の13(自由席)。2階右側のバルコニー席。合唱団はソプラノ38人、アルト41人、テノール17人、バス19人(総勢115名。以上団員名簿による)男性は中央、女性は左右。結構ベテランが多いコーラス。
千里バッハオーケストラ:ヴァイオリンⅠ 4名、ヴァイオリンⅡ 3名、ヴィオラ 2名、チェロ 2名、コントラバス 1名、フルート 2名、オーボエ 2名、ファゴット 1名、ホルン 1名、トランペット 3名、ティンパニ 1名。
《歌詞対訳と解説》 対訳:小林 標 対訳:山口篤子
ヨハン・セバスチャン・バッハ(1685~1750)は65年の生涯で1000を超える作品を遺した。そのなかで、1748年から翌年にかけてまとめられた《ロ短調ミサ曲》は、バッハ最後の完成作品と考えられている。
ミサ曲は、キリスト教の典礼のための音楽である。14世紀以降カトリックでは、ひとりの作曲家がラテン語の典礼文全体に作曲する「通作ミサ」が伝統となっていたが、宗教改革を経てカトリックから分離したプロテスタントでは、ラテン語の使用は制限され、ミサでは典礼文の前半部分のみが用いられた。実のところ、ルター派の教会音楽家だったバッハが書いた5つのミサのうち、4曲はルター派式の短いもので《ロ短調ミサ》は例外的な存在である。
佳境にはいったバッハは、自らの音楽的集大成として通作ミサを書くことを思い立ち、過去につくった作品に念入りに改編を加え、さらに新たな作曲もして、全部で27の楽章からなるこの大規模なミサ曲をまとめあげた。ここでは、彼が生涯を通じて習得したさまざまな技法-バロックのそれはもちろん、ルネッサンス風の作法や、彼の晩年に流行した様式までも-が時代を超えて統合されている。しかし、バッハが融合を試みたのは音楽だけではない。先にも述べたように、カトリックのミサの形態をとってはいるが、プロテスタント的な要素を多分に含んでおり、宗教の枠組みを超える普遍的な性格を有している。このような《ロ短調ミサ曲》の有り様に、生涯の大半を教会音楽家として過ごしたバッハの吟持をみてとることができよう。
第1部 Missa:1733年、〈キリエ〉と〈グローリア〉からなるルター派のミサとして作曲。
1.合唱(Kyrie eleison 主よ哀れんでください)
曲は鮮烈な全合奏で開始され、オーケストラの前奏をへて長大な5声の合唱フーガとなる。フーガの主題には、バロック時代の音楽語法で心からの叫びや哀願を意味する跳躍が用いられ、独特の陰影を与えている。
(アマとしては好ましいコーラス、伴奏)
2.二重唱(Sop & Alt) (Chrite eleison キリストよ哀れんでくだい)
ユニゾンのヴァイオリンと通奏低音を伴う二重唱。前後の〈キリエ〉がバロック的な荘重さを示すのに対し、この楽章は18世紀半ばに流行した装飾的な書法で書かれており、軽やかで優美な表情を見せる。
(ソロの声、よく通る。子音がはっきりと聞こえ、さすが)
3.合唱(Krie eleison 主よ哀れんでください)
古式のフーガ。この様式はルネッサンス期に活躍した作曲家パレストリーナをを模範とし、2分音符を基本単位とするアラ・プレーヴェ、主に順次進行による旋律、厳格な対位法などを特徴とする。「Kyrie 主よ」につけられた半音階的進行には、キリストの象徴としてバッハがしばしば用いた音形で、楽譜上の4つの音符を線で結ぶと十字架があらわれる。
(コーラス、重くならず軽やかに流れる)
Gloria
4~5.合唱(Gloria in excelsis Deo. 至高の境地にあっては神に栄光が(ありますように)。
(Et in terra そして地上では)
(Pax hominibus bonae voluntatis 良き志持つ人々に平安が(ありますように)。
神の栄光を讃える〈グローリア〉からは、オーケスらにトランペットとティンパニが追加され、音楽に祝祭感と輝かしさを添えていく。第4曲と第5曲は、ひとつの旋律をオーケストラと合唱が交互に奏する協奏的な楽曲で、後者はフーガになっている。「至高の境地」「地上」という対句的な歌詞を受けて、主題も対照的に、第4曲では高めの音域で跳躍を伴い、第5曲では低めの音域でなだらかにつくられている。
6.アリア(Sop) (Laudamus te.Beedicimus te
私どもはあなたを褒め称え、賛美します。)
(Adomus te. Grofikamus te. 私どもはあなたを拝み、崇めます。)
神への賛美のアリア。独奏ヴァイオリンのオブリガートを伴う。装飾的かつ技巧的な旋律、短長の逆符点のリズムなど、18世紀の流行を取り入れた華麗な音楽。
(第1ヴァイオリン(コンマス)、軽やかに弾く)
7.合唱
(Gratias agimus tibi 私どもはあなたに感謝を捧げます。)
(propter magnama gloriam tuam. あなたの偉大なる栄光のゆえに。)
4声の合唱フーガ。古様式に準じた形で、下声部から沸き上がるように主題が積み重ねられてゆく。オーケストラは概ね合唱をなぞるが、後半になるとトランペットが独立してフーガ主題を奏ではじめ、壮麗なクライマックスへと至る。
(落ち着いたコーラス)
8.二重唱(Sop & Ten)
(Domine Fili unigenite 主にして一人息子たるお方、)
(Jeu Christe altissime. 高き無比なるイエス・キリストよ、)
(Domine Jeus,Rex coelestis, 主なる神、天の王よ、)
(Deus Pater omni;potenns. 神にして、全能なる父よ、)
(Domine Deusu, Agunus Dei, Filius Patoris, 主なる神、神の子羊、父の御子よ。)
フルートのオブリガート付きの二重唱。第2曲などと同じく、当世風で華やかな書法による。曲の前半、ソプラノとテノールは2行をひとまとまりとして、異なる歌詞を同時に歌い、それぞれ「父」あるいは「子」を表す。後半では最後の1行を同時に歌い、転調の末に次の次の合唱を導き出す。なお、歌詞2行目の「altissime 高さ無比なる」という語は、バッハが人生の後半を過ごしたライプツィヒの慣例により追加された。
(二人ともよく通る声、伴奏のアンサンブルも良い。フルートも上手い。)
9.合唱
(Qui tollis peccata mundi, あなたは世界の罪を取り除いて下さるお方)
(miserere nobusu. 私どもを哀れんでください。)
(Qui tollis pecata munndi, あなたは世界の罪を取り除いて下さるお方)
(suscipe deprecationem nostoram. 私どもの哀願を受け入れてください)
キリストへの救憐を歌う。「peccata 罪を」の哀願を表す跳躍音程。「miserere哀れんでください」の執拗な反復による強調など、密やかさの中に強い表現がみられる。弦楽器の固執的音型や、フルートのまつわりつくような動きも象徴的。
(しっとりとした歌唱)
10.アリア(Alt)
(Qui sedes ad dexteram Patris, あなたは父君の右側にお座りの方)
(miserere nobisu, 私どもを哀れんでください)
前曲に続き、救憐のアリア。舞曲風の楽曲で、オーボエ・ダ・モーレがオブリガートを奏する。
(オーボエが素敵な演奏。アルトの落ち着いた歌唱)
11.アリア(Bass)
(Quoniam tu solus sanctus, なぜなら、あなたお一人が神聖にして、)
(Tu solus Dominus, あなたお一人が主であり、)
(Tu soplus altissimus あなたお一人が高き無比なるお方なのですから、)
(Jesu Churite. イエス・キリストよ。)
ファゴットと通奏低音の上でホルンが高らかに鳴り響き、バスは高さ無比なるキリストを称える。
(バスらしい発声。ホルンよく鳴る。)
12 .合唱
(Cum Sancto Spiritu (私どもが)聖霊に見守られ、
(in gloria Dei Patris. 父なる神の栄光に包まれて(ありますように)。
(Amen. アーメン。
快活な協奏フーガ。ひとつめのフーガは通奏低音のみを伴ってシンプルに展開されるが、ふたつめでは正規の主題と、その入りの前後に挿入された主題断片とが、複雑に絡み合う。最後は華々しい総奏で締めくくられる。
(コーラス、伴奏とも快調に走る。トランペットが素敵に吹かれ、快演)
・・・・・休 憩(15分)・・・・・
第2部 Symbolum Nicenum:晩年に改編・作曲。キリストとその受難を象徴し、シンメトリカルな構成をとる。
13 .合唱
(Credo in unum Deum,
第2部は信仰告白。ここでは神へのゆるぎない信仰が、7声の(合唱5声+ヴァイオリン2声)による古様式のフーガで歌われる。その下では、通奏低音が四分音符の刻みを延々と続けてゆく。フーガ主題は、カトリックではグレゴリオ聖歌として、ルター派せはコラールとして共有されている旋律からとられた。
(フーガ。子音、よく聞こえる。)
14.合唱
(Patrem comnipotentem, 全能の父として、)
(Factorem coedi et terrae, 天と地の造り主、)
(xisibilium comnium et invisbilium, 眼に見えるもの、見えぬものすべての造り主として。)
4声の合唱による協奏フーガ。主題の入りではしばしば、前曲の歌詞の断片が和声的に重ねられる。オーケストラは概ね合唱と同じ動きをするが、ここでもトランペットは途中から独立してフーガに加わる。
(コーラスはフーガ。トランペット、快調に鳴る。)
15.二重唱(Sop & Alt)
(Et in unum Dominum Jesum Chrisum, そして唯一の主なるイエス・キリストを(信じます)、
(Filium Dei unigenitum. 神の一人子たるお方として、)
(Et ex Patre natum annte omnia secila ありとある世に先だって父より生まれたるお方、)
(Deum de Deo, lumen de lumine 神より出た神、光より出た光、)
(Deum verum de Deo vero, 真の神より出た真の神として。)
(Genitum, non factum, 造られたのではなく生まれたお方、)
(consubstantialem Patori: 父君と一体であられるお方として。)
(Per quem omnia facta sunt, すべてはその父君によって造られたものでした)
(Qui propter nos homines, そしてそのお方は私ども人間のために、)
(et propter nostram salutem 私どもの安寧のために)
(descendit de coelis 天から降り下ってくださいました)
こだまのようなカノンが印象的な二重唱。ふたつの声は歌詞にある通り「父」と「子」の一体性、あるいはここでの信仰告白の対象であるキリストを表すとされる。
16.合唱
(Et incarnatus eat de Supiritu Sancto そして聖霊より)
(ex Maria Virginer::)
(Et homo factus est. 人間となられたのでした。)
ここからは3つの合唱でキリストの生涯を辿ってゆく。第16曲はキリストの誕生。伴奏の固執的音型も含め、降誕を象徴する下降音形が支配的だが、最後の1行だけは、天を仰ぎみるかのように上行形に転じる。
(しっかりと落ち着いたコーラス 。)
17.合唱
(Crucifixus etiam pro nobis, それのみならず私どものために十字架刑に遭いました。)
(sub Pontio PPilato passus, ポンティウス・ピラトゥスのもとで受難され、)
(et sepulfus est. 葬られてしまわれたのです。)
シンメトリカルな構造の中心に位置する楽章。ここに受難をもってきたのは、プロテスタント的な措置。通奏低音が奏する半音階の下降音形(ラメント・バス)、その13回もの反復。合唱にみられるため息のような音型など、嘆きの表現が随所に見られる。
18.合唱
(Et resurrexit tertia due, そして三日目に復活されました、)
(secundum Scripturas, 聖書に書かれた通りに。)
(Et ascenndit in coerum: そして天上に昇られて、)
(sedet ad dexteram Dei Patoris. 今は父なる神の右側に座っておられます。)
(Et iterum venturus est moruos: そそてふたたび来られるはずです、栄光を携えて、)
(judicare vivosu et mortuos: 生きている者、死せる者たちを裁くために、)
(sujus regni non erit finis. その方の王国には終わりはないのですから。)
前曲を長調の和音で終始することによってわずかに示されたキリストの復活が、ここで高らかに歌い上げられる。合唱とオーケストラによる協奏フーガで、途中には、最後の審判について歌うバスの長いパート・ソロが挿入されている。
(一転して元気によい活気のある、コーラス。ティンパニ、トランペットが響く。)
19.アリア(Bass)
(Et in Spuritum Sanctum, さらに私は聖霊を信じます、)
(Doninum,et vuvuficantem, 主として、また命を与えるものとして。)
(qui ex Patre et Filioque procedit. 聖霊は父と御子の双方より出て、)
(Qui cum Patre et Filio simulu adorahur, 父と御子と同じく生まれ、)
(et connglolificatur: 同じく崇められている方、)
(qui loctus est per Prophetas. 予言者を通じて言葉を発したお方です。)
(Et unam sanntam csthlicam さらに私は、聖霊にして真正の、)
(et apostolicam Ecclesiam. 使徒に導かれた唯一の教会を信じます。)
聖霊と教会への信仰告白についてもアリア。オーボエ・ダモーレの二重奏と通奏低音を伴い、温かで親しみやすい雰囲気をもつ楽曲。
(オーボエ・ダモーレ、よく鳴る。バス、温かみのある声。)
20~21.合唱
(Conteor unum baptisma 私は公言いたします、ただ洗礼だけが)
(in remissonem peccatorum. 罪の許しへとあることを。)
(Et exspecto resrurectionem mortorum. そして私は待ち望みます、死せる者たちの復活と)
(Et xitam venturi secli 来るべき世における生活を。)
(Amen. アーメン。)
第20曲は洗礼への信仰告白。対をなす第13曲と同じく古様式のよるフーガで、主題も同じくグレゴリオ聖歌からとられている。曲尾では第21曲の歌詞(3行目)が先取りされるが、その不穏なまでの緊張感は、切れ目なく続く次曲で歓喜へと転換する。第21曲は第14曲に対応する協奏フーガ。あくまで上昇を志向する動きが特徴的なふたつの主題によって、死者の甦りの期待が表現され、最後は全合奏の「アーメン」で華やかに締めくくられる。
(少しコーラスが不安定な部分もある。アーメンコーラスで締めくくる。)
第3部 Sanctus:もともとは1724年、クリスマスのために書かれた楽曲。晩年に改作され、ミサ曲に組み入れられた。
22.合唱
(Sanctus, Sanctus, Sanctus, 神聖にして神聖、神聖なるものです、)
(Dominus Deus Sabaoth. 神は万軍の主なのですから。)
(Pleni sunt coeli et terra gloria ejus. 天も地もその方の栄光で満ちているのです。)
歌詞は旧約聖書イザヤ書に基づく。「Snctus」という言葉が3回繰り返されることにちなみ、楽曲全体も「3」に支配されている。全6声の合唱では3声ずつの動きが目立ち、オーケストラでもトランペットとオーボエは3本ずつ、弦も3声(ヴァイオリン2声+ヴィオラ)でまとめられている。さらに、曲の前半では3連符が多用され、後半は3/8拍子のフーガとなる。フーガの途中から聞こえはじめる主題とよく似たモチーフは、曲の最後でも強調され、次の〈オザンナ〉へと引き継がれる。なお、歌詞の最後の部分はカトリックの「glloria tua あなたの栄光」から、ルター派式の「gloria ejus その方の栄光」に変更されている。
(活気のあるコーラス。)
第4部 Osanna,Benedictus,Agnus Dei et Dona mobis pacem:晩年に旧作から改編。
23.合唱
(Osanna in excelsis. 至高の境地にも、オザンナ(祈り届きますよう)
二重合唱とオーケストラによる協奏フーガ。前曲の主題に似たモチーフは、ここで「オザンナ」という歓呼の声になる。ふたつの合唱群がカノンをなしたり、フーガと和声的な動きが対比されたりと、二重合唱が駆使されている。
(活気のあるコーラス。トランペットが印象的。)
24.アリア(Ten)
(Benedictus, 讃えられるべきです、)
(qui venit in nomine Domini, 主という名を持ちて来られたお方は。)
フルートと通奏低音のみを伴うアリア。晴れ晴れとした〈オザンナ〉に挟まれたこの曲の静謐さは、ことさら印象深い。
(フルートの伴奏。やわらかい声のテナー。)
25.合唱
第23曲が繰り返される。
(活気のあるコーラス。トランペットが活躍。)
26.アリア(Alt)
(Agnus Dei qui tollis peccata mundi: 神の子羊、世界の扉を取り除いてくださる方、)
(miserere nobis. 私どもを哀れんでください。)
アルトが再びキリストへの救憐を歌う。伴奏は通奏低音とユニゾンのヴァイオリンのみ。歌唱声部のため息のような旋律は、ヴァイオリンとカノンをなす。
(深みのあるアルトの声。高い部分もよく通る。)
27.合唱
(Dona nobis patem.) 私どもに平安をお与えください。
終曲は平安への祈り。自筆譜ではこの曲の後に、他の作品同様、バッハ自身の手によって「完了、神にのみ栄光あれ」という言葉が添えられている。音楽は第7曲と同じものだが、一説によればこの再現は、ここでなされる平安への祈りに先の歌詞内容(神への感謝)を重ね合わせるために行われたのであり《ロ短調ミサ曲》を含むバッハのすべての創作活動に対しての感謝を表しているのだという。
(バッハを愛する気持ちが伝わってくる演奏でした。)終了:19時5分。
《プロフィール》
ソプラノ:松田真由美
大阪音楽大学音楽学部声楽科卒業、同大学音楽専攻科終了。在学中より八木宣好氏に師事し、日本テレマン協会にて、教会音楽のソリストとして活躍。「ソロリサイタル」「ジョイントリサイタル」をはじめ「ミュージックセミナー」「クラシック音楽家振興会推薦コンサート」等、数多くの演奏会に出演。また合唱組曲やモーツァルトのミサ曲をはじめ「レクイエム」「戴冠ミサ」フォーレ「レクイエム」バッハ「ロ短調ミサ曲」「クリスマス・オラトリオ」「ヨハネ受難曲」「マニフィカト」「マタイ受難曲」のソリストをつとめるなど、バロック音楽から古典派ロマン派をレパートリーの中心に、現在はフリーのソロシンガーとして各方面で活躍している。
アルト:上辻静子
相愛大学音楽学部声楽科卒業、同大学研究科修了。バロック音楽を中心に演奏活動をおこなっており、数少ないコントラアルトとして、カンタータ、オラトリオの演奏には無くてはならない存在である。また日本テレマン協会のヨーロッパ演奏旅行にソリストとして参加し、現地紙などで高い評価を受ける。一方ドイツ歌曲の分野でも女性では珍しい「冬の旅」全曲などを過去4回のリサイタルで取り上げ、その成果に対し大阪文化祭奨励賞、大阪府民劇場奨励賞を受賞。最近は日本歌曲の演奏にも意欲的である。荘田作、故柴田睦陵の両氏に師事。現在、相愛大学音楽学部講師、日本テレマン協会会員。
テノール:井場謙一
府立春日丘高校、大阪音楽大学音楽学部声楽科卒業。在学中は林誠氏に師事。ベートーヴェン「第九」、ヘンデル「メサイア」、バッハ「クリスマス・オラトリオ」「ヨハネ受難曲」、モーツァルト「レクイエム」、グノー「聖チェチーリアミサ」他、ハイドン、シューベルト、ブルックナーのミサ曲など宗教曲を中心としたレパートリーの他、「魔笛」タミーノ、メノッティ「アマールと夜の訪問者」カスパール王などのオペラでも活躍、その繊細な美声と安定した歌唱力で、数少ないコンサートテノール歌手として活躍している。現在、茨木市立養精中学校教諭、日本テレマン協会会員、茨木市合唱連盟技術顧問、茨木市音楽芸術協会会員、プリランテ三島指揮者。
バス:小玉 晃
京都市立芸術大学大学院、ヴィーン国立音楽大学大学院修了。リートをモーリア、オペラをニックラー、発声を宮廷歌手ニコロヴァに師事。在欧中リサイタルの他、多数の演奏会に出演。バロック作品の歌唱法をV.エグモントに、リート解釈をホッター、シュライヤー、ヘフリガー、ペリー他に学ぶ。ベートーヴェン「第九」、バッハ『マタイ受難曲』、『ヨハネ受難曲』ヘンデル『メサイヤ』、ブラームス、ヴェルディ、フォーレの『レクイエム』他、ソリストを数多く。モーツァルト『コジ・ファン・トゥッテ(グリエルモ)』『魔笛』(弁者)他に出演。J.S.G.国際歌曲コンクール第1位。日本音楽コンクール入選。青山音楽賞、松方ホール音楽賞大賞他、受賞多数。理論に裏付けされた発声指導には定評が有り、各方面から指導依頼も多い。大阪音楽大学、同志社女子大学講師。日本ドイツリート協会副会長。京都市民合唱団他、指導者。
指揮:八木宣好
数多くの演奏会・放送・レコーディング・海外演奏旅行などを行っており、これらを自らの音楽基盤にしている。レパートリーはドイツ音楽を中心に、バロック教会作品からロマン派・現代作品まで得意の分野である。特に教会作品についてはアカデミックなプロの合唱団「テレマン室内合唱団」を自らの手で創設創立(1969年)し、多くの珍しい作品を紹介。一方、1963年バッハ生誕300年を前に、アマチュア精神による最高のバッハ演奏を目指し「千里バッハ合唱団」を創立。以後、その音楽監督として指導に当たる。また「バッハ生誕300年記念国際国際音楽祭」にソリストとしてドイツ文化省の招待を受け、世界一流アーティストと並び出演する。最近は自らの演奏に留まらず、良い音楽環境作りのために演奏会の企画や後進の指導育成にも尽力している。大阪音楽大学を経て同大学院修了。日本演奏連盟賞受賞。現在、クラシック音楽家振興会代表幹事、大阪音楽大学講師。
千里バッハ合唱団 千里バッハオーケストラ
千里バッハ合唱団は、J.S.バッハ生誕300年(1985年)を2年後に控えた1983年3月に結成された。1985年に第1回自主公演として「ロ短調ミサ曲」を演奏以来、「クリスマス・オラトリオ」「ヨハネ受難曲」「マタイ受難曲」「マニフィカート」などJ.S.バッハの主要な宗教的合唱曲を順次取り上げてきた。1994年には、創立10周年記念行事として、ドイツのヴァイマール市からフランツ・リスト音楽大学室内合唱団を招聘し、「ヨハネ受難曲」の合同演奏会をいずみホール他で開催し、翌年にはドイツで〈バッハ週間〉関連行事として、アイゼナハの聖グルク教会、ヴァイマールのヘルダー教会にて、再びフランツ・リスト音楽大学室内合唱団と合同で「ロ短調ミサ曲」をを演奏した。また、1999年4月にはベルリンのフィルハーモニー大ホールにて、ツィマーマン教授の指導により高名なベルリンアカデミーおよびベルリン・シンフォニカーと合同演奏会を開催した。そのほか、各種キリスト教団体からの依頼によりチャリティー公演もおこなってきた。
2003年7月「ロ短調ミサ曲」を創立20周年記念演奏として歌って以来、ほぼ年1回J.S.バッハの大曲を歌ってきたが、今回再び「ロ短調ミサ曲」の演奏へと一巡してきた。大阪公演に引き続き、今回初めて東京公演をおこなう。今後は、J.S.バッハの曲を中心にほかの作曲家の曲も適宜とりあげていく。
練習は、毎週水曜日の夜7時から千里公民館でおこなっている。千里バッハオーケストラは、千里バッハ合唱団専属のオーケストラとして誕生し、合唱団の活動を支える大きな役割を担ってきた。合唱団・オーケストラ・独唱者・指揮者を含む総合芸術としての、オラトリオ・ミサ曲・カンタータなど声楽曲の分野に焦点を絞っている。
成就のときを迎えて 待望の《ミサ曲ロ短調》
鈴木雅明(指揮・チェンバロ・オルガン) ききて・文=歌崎和彦 雑誌「レコード芸術」(2008年1月号)音楽之友社刊より
鈴木雅明指揮、バッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)におよる《ミサ曲ロ短調》が2007年年度のレコードアカデミー大賞銀賞を受賞した。・・・・《ロ短調ミサ曲》は鈴木氏が中学・高校時代に、明けても暮れても聴き続けた作品であるが、なかなか演奏と録音の機会を得ることができなかったという。鈴木氏とBCJは90年代末に《マタイ》《ヨハネ》の両受難曲と《クリスマス・オラトリオ》を録音しており、これでバッハの4大宗教曲を完成したことになるわけで、まさに待望の録音というべきだろう。(なお、お話は、レコードアカデミー賞の部門賞が決定する以前の07年10月19日に、東京藝術大学大学美術館の新館でうかがった)。・・・・
(歌崎)ミサ曲ロ短調を録音されて、BCJとのバッハの4大宗教曲が完成しましたが、他の曲は1998年と99年の録音でしたから、随分間がありました。・・・・・
(鈴木)・・・・最近は毎年ヨーロッパのツアーがあるので、ライプツィヒでの録音も考えましたが、結局いつもやっているホームグラウンドがいいだろうと、カンタータ全集と同じ神戸松蔭女子学院大学チャペルでの録音になったのです。
またなかなか録音できなかったのは、第2ソプラノにこれという人がいなかったこともあるんです。音域的にも難しいパートなので、オーディションをしたり、人づてに探してもらったりしていたのです。
(歌崎)第2ソプラノはレイチェル・ニコルズさんですね。・・・・・
(歌崎)今回の合唱は、ソプラノⅠⅡが各3名、それ以外の3パートは各4名ですね。
(鈴木)ロ短調ミサ曲の難しさは、合唱の比重が大きいうえに最後にアルト、テノール、バスのソロがあることです。私たちの場合は、ソリストが合唱を兼ねますので、合唱を1時間以上歌ってから、あの美しいアリアを歌うことになり、それで負担が大きいので、演奏会ではソプラノの2人は合唱もうたうけれど、アルト、テノール、バスはソロだけを受け持ってきました。実際ではそれが一番バランスがいいのです。・・・・・
(歌崎)録音では全曲を通して歌う必要がないので、アルトとテノール、バスも合唱を兼ねることが可能になったわけですね。CDを聴かせていただいて、合唱がしなやかに洗練されているだけでなく、録音での表現にもとてもしっかりとしたエネルギーがあると思いました。
(鈴木)カンタータでは各パート3人なので、今回は合唱の人数が少し多いのですが、ロ短調ミサ曲は二重合唱が多いのでソプラノは各3人、アルト以下は4人にしたのです。ソプラノはほとんど2部に別れるので、その場合はソプラノ3+3に対してアルト以下は4-4-4、二重合唱では基本的に3-2-2-2のペアになるので、曲による差が少ないのです。・・・・
(歌崎)オーケストラとのバランスの面でも、とてもいいと思いましたし、二重合唱でのあのような広がり感は、やはり各パート1人では得られなかったでしょうね。
(鈴木)ソプラノは3人で、5部合唱では他のパートより1人少なくなりますが、音域が高いですし、際立った音色の人を選んであるので、バランス的にも十分だったと思います。・・・・・
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