演奏会に行ってきました「東京藝大シンフォニーオーケストラドイツ公演記念演奏会 ベートーヴェン第九」(2009-32)
2009年7月26日(日)15:00開演 東京藝術大学奏楽堂(大学構内) (JR上野駅公園口徒歩15分・東京メトロ日比谷線・銀座線上野駅徒歩20分)
ご挨拶 植田克己(東京藝術大学音楽部長) 澤和樹(副学部長)
東京藝大シンフォニーオーケストラドイツ公演は、2008年7月の、駐日ドイツ連邦共和国大使館プリンツ公使と新国立劇場運営財団遠山敦子理事長から本学宮田亮平学長への依頼に基づき、実現する運びとなりました。今年8月、ベルリン(ドイツ)のコンツェルハウスで開催される第10回ヤングユーロクラシック音楽祭の、オープニング(7日)におけるベートーヴェン交響曲第9番の演奏会、その翌日(8日)には日本人作曲家の新作を含む演奏会を開催することになっております。
この間音楽学部では、学部を挙げての協力支援体制によるオーケストラ派遣という認識の下で「ドイツ公演実行委員会」を立ち上げ、オーケストラに参加する学生の選抜はもとより、音楽祭事務局からの要請による《第九》ソリスト派遣の決定と人選、細川俊夫作品のピアノ独奏者の決定、邦人委嘱作品(新作)についての学内募集と選考などをおこなって参りました。
また、今回のオーケストラ派遣をより有意義なものとするため、当音楽祭のみならず複数の音楽祭への参加についても検討を重ね、シュタットハレ・コングレスザール(ドイツ・カッセル)で開催される、「北部ヘッセン芸術の夏」への出演(9日)も併せておこなうことなりました。
この度の東京藝大シンフォニーオーケストラドイツ公演では、参加する学生たちの日頃の教育研究成果が充分に発揮される演奏が行われることを確信しております。さらには国際的な舞台で演奏することの意義を、彼らが自分の目で見、耳で聴き、肌で感じて、世界で活躍する基本を身につけることにより、将来国際親善や文化交流においても大きく寄与してくれることを期待しております。
最後に成りましたが、東京藝大シンフォニーオーケストラドイツ公演を実現するあたり、ご支援、ご協力を賜りました皆様に心から御礼申し上げます。
《プログラム》
L.V.ベートーヴェン:交響曲第9番 ニ短調 作品125
ソプラノ:岩下晶子 アルト:谷地畝晶子 テノール:山本耕平 バリトン:今井俊輔 合唱:台東区区民合唱団 管弦楽:東京藝大シンフォニーオーケストラ 指揮:高関 健
参考までに。
第2日 7月31日(金)
P.ヒンデミット:ウエーバーの主題による交響的変容
高橋幸代:「SANDRA-光満ちる海へ-」
細川俊夫:「沈黙の海」ピアノ、弦楽オーケストラ、打楽器のための
ピアノ:入江一雄
S.プロコフィエフ:交響曲第5番 作品100
も演奏された模様です。モントウーは1日目のみ聴きました。
《プログラム》
第1日 2009年7月26日(日)15:00開演
ベートーヴェン:交響曲第9番 ニ短調 作品125「合唱付き」
《印象 感想など》
二階席を除き、ほぼ満席。全員が招待。コントラバス7人、舞台左奥。コーラスは最初から舞台に。コンサートマスターは男性。多分、名簿によると守屋剛志。
第1楽章 さっぱりとした簡潔な出だし。若々しいオーケストラ。生きのよい演奏。 第2楽章 キレのある演奏。金管、ティンパニーなどキビキビとした響き、演奏。 第3楽章 穏やかな演奏。よく歌い、流れる。(ソリスト入場) 第4楽章 勢いのある出だし。コントラバス、静かに有名なテーマを奏する。合奏へと続く。バリトンソロ、朗々とした歌唱。コーラス好調。女性陣、両脇。男性は中央。オケもキビキビとしたアンサンブル。コーラス、合奏とも山場は一体となった演奏。後半、急ぎすぎず。コーダはソロ、コーラスともたっぷりと盛り上がる。そしてテンポを上げて突っ走る。急テンポで終了。快演。凄い演奏。盛大な拍手。真夏の第九も悪くない。
《プログラムノート》 島野聖章(東京藝術大学演奏芸術センター教育研究助手)
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770~1827)の9つの交響曲の中でも特に傑作とされ続けている「第九」交響曲は1824年、作曲者が54歳の時に完成した。大規模な楽曲構成、独唱及び合唱の導入、斬新な楽器法など、当時としては前代未聞といえるこの作品は、古典派交響曲の集大成であると同時にロマン派への扉を開き、後の交響曲作曲家に多大な影響を与えた。
第1楽章 アレグロ・マ・ノン・トロッポ・ウン・ポコ・マエストーソ、ニ短調、4分の2拍子、ソナタ形式。冒頭、弦楽器による空虚5度の神秘的な響きがやがて厳しさに満ちた第1主題に発展する。その後、流れるような変ロ長調の第2主題が続き、力強く壮大な音楽が展開していく。
第2楽章 モルト・ヴィヴァーチェ、ニ短調、4分の3拍子、大規模なスケルツォ楽章。切れのよいリズムを保ちながら躍動感溢れる音楽が進んでいく。この楽章ではティンパニーが素晴らしい効果を発揮する。
第3楽章 アダージョ・モルト・エ・カンタービレ、変ロ長調、4分の4拍子。複合変奏曲形式。祈り、希望、安らぎに満ち溢れた緩徐楽章。その美しさはたとえようもないほどであり、聴き手を幸福に満ちた世界へ導いていく。変ロ長調の主要主題、ニ長調の副主題が反復、変奏、転調を経てコーダへ至る。
第4楽章 プレスト、ニ短調、アレグロ・アッサイ、4分の4拍子、自由な変奏曲形式。人類愛を高らかに歌い上げるこの楽章は、人生の苦難を連想させる騒々しい音楽で始まる。やがてチェロとコントラバスが有名な旋律を静かに静かに奏でると、それが次第に発展していく。その後、バリトンが「大友よ、喜びにあふれた調べを歌おう!」と力強く歌い始め、独唱、合唱が歓喜の歌を次々と歌い上げて壮大に展開し、感動的なクライマックスを築いて曲を閉じる。
《レコードやCDのことなど》
レコードやCDは自分が気に入ったものを聴いていればいいわけですが、ここでは自由への賛歌1989年、ベルリンの壁崩壊直後の特別演奏会のCDを紹介します。
自由への賛歌~1989年、ベルリンの壁崩壊直後の特別演奏会
バーンスタインと6つのオーケストラの団員による第9
1989年12月25日、ドイツの東西分離の象徴でもあったベルリンの壁が崩壊したことを記念した一大イヴェントが、レナード・バーンスタイン(1918~1990)が指揮したこの演奏会でした。バーンスタインはここで、バイエルン放送交響楽団をメインに計6つの楽団のメンバーによって特別に編成されたオーケストラを指揮し、これに東西ドイツの合唱団と東西ドイツ&英米のソリストが加わった豪華な布陣によるアンサンブルを指揮しています。
ちなみに6つのオーケストラの内訳は、西ドイツ・東ドイツに、ドイツの東西分離のきっかけとなったアメリカとソ連、それに第二次大戦時のドイツの敵国イギリスとフランスのオーケストラというもので、記念碑的な演奏会をさらに特別なものにしようという関係者の尽力が偲ばれます。
なお、バーンスタインはここで、ベルリンの壁が崩壊したという歴史的事実を祝うために第4楽章の歌詞の“Freude(歓喜)”を“Freiheit(自由)”に変更して歌わせています。当時のバーンスタインはすでに肺ガンに冒されており、しかも自身そのことを知っていたといいますから、ここでの渾身の指揮ぶりはまさに命がけのものだったのでしょう。しかしバーンスタインは最後までエネルギッシュでした。
【収録情報】
ベートーヴェン:交響曲第9番 ニ短調 Op.125『合唱付き』
ソプラノ:ジューン・アンダーソン メゾ・ソプラノ:サラ・ウォーカー
テノール:クラウス・ケーニヒ バス:ヤン=ヘンドリンク・ローテリング
バイエルン放送合唱団 ベルリン放送合唱団メンバー
ドレスデン・フィルハーモニック児童合唱団
バイエルン放送交響楽団 シュターツケペレ・ドレスデン・メンバー
ロンドン交響楽団メンバー レニーングラード・キーロフ劇場管弦楽団メンバー
パリ管弦楽団メンバー
収録時期:1969年12月25日
録音場所:東ベルリン、シャウシュピールハウス
録音方式:デジタル(ライブ)
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