演奏会に行ってきました「ロンドン・セット全曲演奏会第3回 交響曲第99番、交響曲第100番「軍隊」、交響曲第101番「時計」(2009-11)
2月20日(金)7時15分開演 東京メトロ錦糸町駅徒歩7~8分・JR錦糸町駅徒歩5分すみだトリフォニーホール(パイプオルガンもある、床や壁が焦げ茶色を基調としたとても響きの良いホール。
《プログラム》
ハイドン:交響曲第99番 変ホ長調 Hob.Ⅰ-99
交響曲第100番 ト長調「軍隊」 Hob.Ⅰ-100
交響曲第101番 ニ長調「時計」 Hob.Ⅰ-101
指揮:フランス・ブリュッヘン コンサートマスター:豊嶋泰嗣 新日本フィルハーモニー交響楽団
《交響曲の歴史におけるロンドンセットの位置づけ》 那須田 努
1790年、ハイドンが30年近く仕えてきたニコラウス・ヨーゼフ・エステルハージ候が逝去した。新しい主君はさほど音楽に関心がない。オーケストラは解散され、今となって楽長の地位は有名無実。他の宮廷からの誘いも断り、これからどうしようかと考えていた折り、突然、ウイーンのハイドンのもとに一人の人物が訪ねてきて、こういうのだった。「私はロンドンからきたザロモンです。あなたをお迎えに参りました。明日契約しましょう」。その男はドイツのボン出身のヴァイオリン奏者でコンサート・プロジューサー、ヨハン・ペーター・ザロモン。大都会ロンドンでザロモン・コンサートという公開演奏会を主催していて、イタリア旅行中にハイドンがフリーランスになったことを知り、急遽駆けつけたのだった。
契約の内容は新作オペラと12の新しい交響曲の作曲を始めとする作品の作曲と、交響曲の指揮や慈善コンサートなどへの出演である。ハイドンの心を惹いたのは、コンサートマスター、ザロモン以下、総勢40名からなるオーケストラだった。(その内訳はヴァイオリン16、ヴイオラ4,チェロ3,コントラバス4,各2本のフルート、オーボエ、ファゴット、ホルン、クラリーノ、ティンパニー)。エステルハージー宮の楽団(1780年代に24名)に比べてずっと編成が大きいし、名手たちも揃っている。このオーケストラのために存分に腕を振るってみたい。こうして1791年からおよそ1年半の、さらに1794年からの1年半の二度にわたるロンドン滞在が実現し、計12曲(第1期93番~98番、第2期99番~104番)の新しい交響曲が誕生したのだった。
ハイドンは1757年に最初の交響曲に取り組んで以来、生涯を通して104曲の交響曲を残した。このロンドン・セットはその集大成であると同時に、古典派における同ジャンルの頂点に聳え立つ傑作である。なお、当シリーズではハイドンの交響曲の番号順ではなく、ロビンソンの研究による作曲年代順に演奏される。
《印象 感想など》
私の席 25列33番。今日は平日からか聴衆の出足はよくない。しかし開演時にはほぼ満席になる。
交響曲第99番 変ホ長調 Hob.I-99
コントラバス4,左奥。第1楽章 ティンパニーの一打で始まる。ティンパニーが効果的に使われる曲。明るい感じの楽章。ノンビブラートの奏法。 第2楽章 テンポを落とした優雅なメロディが流れる。トランペットがいいメロディを奏す。 第3楽章 テンポの速い、勢いのある楽章。トリオはなかなか優美。 第4楽章 刻みの速い、生き生きとした楽章。最後は見栄をきらず、意外に控えめに終わる。指揮者、退席せず、指揮台にいたままチューニング。
《曲目解説》 那須田 努
ハイドンの2度目のロンドン旅行におけるコンサート・シーズンの幕開けを飾った作品。1794年2月10日に行われた第1回ザロモン・コンサートで初演された。第1楽章の序奏アダージョは比較的規模の大きな作りで、2つの部分からなり、手探りしているかのような転調を経て主調に戻る。主部のヴィヴァーチェ・アッサイはソナタ形式。第2主題の旋律が個性的だ。
第2楽章アダージョは、第1楽章の変ホ長調からかなり遠く経だったト長調。ソナタ形式。第1主題は弦楽器と木管楽器で対話のように奏じられる。第2主題は属調のニ長調。その後も展開部の転調やカノン風の再現部など充実している。
第3楽章メヌエットはアレグレット。鋭いアーテキュレーションやピアノとフォルテの掛け合い、スフォルツァンドなどによって、シャープで立体的なテクスチャーがもたらされる。トリオはそれとは対照的に優美な趣を持つ。
フィナーレ楽章はヴィヴァーチェ。ロンド・ソナタ形式。ソナタ形式の展開部に当たる部分では、主題の対位法的な展開や転調がスリリングだ。
(フルート2,オーボエ2,クラリネット2,ファゴット2,ホルン2,トランペット2,ティンパニ、弦5部)
交響曲第100番ト長調「軍隊」 Hob.Ⅰ-100
《印象 感想など》
第1楽章 例の有名な弦楽器の出だし。フルートがテーマを吹く。弦楽器が明るく爽やかな演奏。合奏が快適に続く。フルート、ピッコロが軽やかに流れる。 第2楽章 ここも木管、フルートと弦の絡みがとても良い。大太鼓、ティンパニー、トライアングル、トランペットが有名なテーマを奏する。 第3楽章 3拍子の活気のある開始。リズミックナ音楽が続く。トリオが奏される。また前の3拍子のテーマが繰り返される。 第4楽章 ダイナミズムが増して4楽章へ。とても気持ちの良いアンサンブル。ティンパニー小気味よい爽やかな音楽を奏す。舞台の右手から、先頭は錫杖のようなものを持った楽隊(大太鼓、シンバル等がが登場。左袖へ進み消える)。まさに「軍隊」。ブリュッヘンの演出か?ブラヴォーの連呼。
《曲目解説》 那須田 努
第2回ロンドン旅行に発表された新作3曲目で、1794年3月31日に第3回ザロモン・コンサートで初演された。ニックネームの「軍隊」は、第2楽章と第4楽章に軍楽隊風の打楽器が用いられていることから。しかし、トライアングルとシンバル、大太鼓はむしろトルコ風の音楽の特徴ともいえる。とりわけ、ロンドンの御婦人方のお気に入りで、その箇所が来ると手を叩いて熱狂したという。
第1楽章の序奏はアダージョにソナタ形式によるアレグロの主部が続く。第1主題は2つのオーボエに伴われたフルートのソロで奏でられ、弦楽で繰り返され、さらにトゥッティによる経過部を経て再現部へ。第2主題は属調上のニ長調。この軽やかな主題の動機は楽章を通して重用される。
第2楽章ハ長調、アレグレットは、コーダ付の複合三部形式だが、ロンド風な性格を併せ持つ。もともとリラ・オルガニーザタのための協奏曲ト長調HobⅦh:3の第2楽章ト長調「ロマンス」を再利用したもので、その際にトランペットのファンファーレとトルコ風打楽器を付加した。軍楽隊風の箇所は何度か現れるが、最も印象的なのはコーダ。一度主和音に落ち着いたと思ったら、突然トランペットが軍隊信号を吹き鳴らし、ティンパニーのロールが急激にクレッシェンドしてトゥッティによるフォルテシモで和音を爆発させる。この楽章はロンドンに限らずウイーンでも人気を博し、様々に編曲されて愛好された。
第3楽章メヌエット、モデラート。ト長調。トリオの主題はヴァイオリン、フルートとオーボエで。フィナーレ楽章はプレスト。ロンド・ソナタ形式。規模の大きな充実した楽章で、第2主題の出現ではトルコ風打楽器群が加わって華やかに曲を閉じる。
(フルート2,オーボエ2,クラリネット2,ファゴット2,ホルン2,トランペット2,ティンパニー、大太鼓、シンバル、トライアングル、弦楽5部)
《印象 感想など》
交響曲第101番 ニ長調「時計」 Hob.Ⅰ-101
第1楽章 アダージョの有名な出だし。軽やかな速いテンポで、快調に流れる。 第2楽章 時計のチクタクという有名なテーマ。快調なメリハリをつけた刻み。絶妙なアンサンブルが素晴らしい。 第3楽章 快適なテンポで、リズムをしっかりと刻む。トリオはフルートが活躍。 第4楽章 テンポの速いフィナーレ楽章。ファゴット、快調に走る。コーダ、テンポを上げて盛り上がる。ハイドンの古典音楽を堪能出来た。ブラヴォー。
アンコール 「時計」の2楽章
万雷の拍手。
《曲目解説》 那須田 努
第2回ロンドン旅行に発表された新作2曲目。初演は、1794年3月3日の第4回ザロモン・コンサートにて。ニックネームは、第2楽章の時計の振り子のような伴奏音型に由来する。
第1楽章アダージョの序奏は、同主短調のニ短調。主部はニ長調、ソナタ形式で書かれ、プレストの軽やかに駆け上がる第1主題と、やはり快活なイ長調の第2主題からなる。
第2楽章アンダンテ、ト長調。変奏曲風のロンド形式。主題を伴奏するファゴットのスタッカートと第2ヴァイオリン、チェロとコントラバスのピチカートが時計のチクタクを思わせる。
第3楽章メヌエットはアレグレット。トリオは弦楽がオスティナート上でフルートがソロを奏でる。フィナーレ楽章はヴィヴァーチェ。複雑で変則的なロンド形式。
(フルート2,オーボエ2,クラルネット2,ファゴット2,ホルン2,トランペット2,ティンパニー、弦楽5部)
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