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2009年1月 9日 (金)

演奏会に行ってきました「紀尾井シンフォニエッタ東京定期演奏会 グノー:小交響曲、ブリテン:フランク・ブリッジの主題による変奏曲、ビゼー:交響曲第1番」(2008-38)

紀尾井シンフォニエッタ東京 第65回定期演奏会 紀尾井ホール 2008年7月26日(土)2:00開演 JR・東京メトロ南北線四谷駅徒歩7~8分(音の良い中ホール。室内楽や室内オーケストラに最適なホール)

コンサートマスター:青木高志(ビゼー)  玉井菜採(ブリテン)

《プログラム》

グノー:小交響曲 変ロ長調

ブリテン:フランク・ブリッジの主題による変奏曲 Op.10

ビゼー:交響曲第1番 ハ長調

《印象 感想》

グノー:小交響曲 変ロ長調

 ロビーで丸谷才一風の男性を見掛ける。(いや絶対丸谷才一だった)

Ⅰ.「アダージョとアレグレット」  Ⅱ.「アンダンテ・カンタービレ」  Ⅲ.「スケルツォ」アレグロ・モデラート  Ⅳ.「フィナーレ」アレグレット

 管楽器のみの演奏。Ⅰ 名手達による抜群のアンサンブル。  Ⅱ フルートがよく通る。  Ⅲ ホルン、出だしから活躍。  Ⅳ 見事な合奏。

ブリテン:フランク・ブリッジの主題による変奏曲 Op.10

Ⅰ 「序奏と主題」レント・マエストーソ-アレグレット・ポーコ・レント  Ⅱ 「アダージョ」  Ⅲ 「行進曲」プレスト・アラ・マルチャ  Ⅳ 「ロマンス」アレグレット・グラツィオーソ  Ⅴ 「アリア・イタリアーナ」アレグロ・ブリランテ  Ⅵ 「古典的なブーレ」アレグロ・エ・ペザンテ  Ⅶ 「ウインナ・ワルツ」レント-ヴィヴァーチェ  Ⅷ 「無窮道」アレグロ・モルト  Ⅸ 「葬送行進曲」アンダンテ・リトミーコ  Ⅹ 「聖歌」レント  ⅩⅠ 「フーガとフィナーレ」アレグロ・モルト・ヴィヴァーチェ-レント・エ・ソレンヌ

 弦のみの演奏。チェロ以外は立って演奏。Ⅰ ピッチカートの出だし。 Ⅱ チェロ中心の出だし。 Ⅲ チェロのピッチカートで始まる。弾むきれいなメロディが続く。 Ⅳ リズミックな楽章。 Ⅴ 弾むイタリア風の歌うメロディ。 Ⅵ 刻む奏法。 Ⅶ 小刻みに震えるような奏法。 Ⅷ 第2ヴァイオリンから始まる。 Ⅸ ヴァイオリンの高い音とチェロの低い音の掛け合い。Ⅹ・ⅩⅠ 弦の刻むような奏法。弦の厚いアンサンブルがよく鳴る。

ビゼー:交響曲第1番 ハ長調

Ⅰ.アレグロ・ヴィーヴォ  Ⅱ.アダージョ  Ⅲ.アレグロ・ヴィヴァーチェ  Ⅳ.アレグロ・ヴィヴァーチェ

 1楽章 キビキビとした、しかしよく歌うテーマ。既にオペラの歌の片鱗が窺える。ホルンが上手い。2楽章 オーボエが素的なテーマを吹く。3楽章 活発な異国風のテーマ、音楽が奏でられる。4楽章 テンポの速い、すこぶる活気のある、若々しい楽章、演奏。よく歌い、流れるはつらつとした音楽が奏でられる。指揮者なしの演奏であるが、抜群のアンサンブルで凄い演奏。

《プログラムノート》 吉澤隆明

 紀尾井シンフォニエッタ東京(kST)が、2007/2008シーズンのしめくくりに選んだのは、指揮者を置かずに彼らだけのさらに自主的な音楽を聴かせること。ソリストや室内楽奏者としての腕前も確かなKSTのメンバーだけに、指揮者やソリストの選択にもつねに厳しい目が光るのだろう。実力ある音楽家で、しかも彼らとの音楽づくりを楽しく尊重できる名手を指揮者に招いたときの、自然な交流の広がりにも格別の魅力がある。そして、指揮者やソリストを招かず、KST自身がすべてをコントロールする定期では、彼らのアンサンブルの高度に自主的な能力が、自由と情熱を謳歌するだろう。

 しかし、それには当然背負うべきリスクもあって、13年にわたり、65回の定期公演を数えるなかでも、指揮者なしは2004年12月の第47回定期が最初で、今回はそれ以来の挑戦になるという。

 本日の客席のなかには、その前回の熱演を鮮やかに思い出される方も、あるいはライブCDでお楽しみの聴き手もいらっしゃるだろう。ついでながら、KSTの3枚のディスクは三者三様で、設立から大事な時期を支えて現在は桂冠名誉指揮者を務める尾高忠明の指揮による武満徹作品集、チェリストのマリオ・ブルネロを独奏と指揮に迎えた第22回定期のライブ、そしてプロコフィエフの「古典交響曲」をメインに置いた指揮者なしのライブがそれぞれリリースされている。採り上げた作品も異なるが、そのミュージシャンシップのありかたや表情の違いも、KSTの多彩な魅力を広い地図に投影するものだ。

 さて、今回のプログラムは、前半が、管楽アンサンブルによるグノーの「小交響曲」で朗らかに始まり、KST弦楽セクションが十八番とするブリテンの「フランク・ブリッジの主題による変奏曲」、そして後半は管弦楽が合わさってビゼーの「交響曲第1番ハ長調」で結ばれる。KSTの名手それぞれの顔も、3つの異なる編成のアンサンブルを通じての全体像も、よく聴こえてくるはずだ。今シーズンの終幕にふさわしい熱の籠もった、充実の演奏会になるだろう。

グノー:小交響曲

 フランスの作曲家シャルル=フエランソワ・グノーは、1818年パリに生まれ、1893年に亡くなった。ルイ16世に仕えた名家の出で、父は画家として知られた。

 パリ音楽院で学び、1899年にカンタータでローマ賞を得ると、ローマ留学で16世紀の協会音楽に強い関心を抱き、パレストリーナの作品から多くを学んだ。1841年にローマで初演されたミサ曲をはじめ、レクイエムなどの宗教音楽を多く作曲した。パリに戻ると教会オルガニストと合唱指揮を務めたが、同時にシューマンやベルリオーズの作品などを研究している。50年代からはオペラの作曲で知られ、《ファースト》などの名作でグノーは19世紀フランスを代表する洗練されたオペラ作家と見なされるようになった。またパリのオルフェオンの合唱隊を指揮して、多くの合唱曲を書き、歌曲にも多くの果実を生んだ。近代フランス音楽の先駆者とみなされるグノーだが、よく知られたオペラや歌曲だけでなく、1850年代半ばに作曲した2つの交響曲のほか、管弦楽や器楽の作品も手がけている。

 9つの管楽器のための《小交響曲Petite Symphoniie》変ロ長調は、作曲家の比較的晩年にあたる1885年春にパリのサル・プレイエルで初演され、たちまち成功を収めた。“管楽器のためのフランス室内楽教会”を1879年に立ち上げて、新作の委嘱にも熱心だった友人のフルーティスト、ポール・タファネルの依頼で書かれ、彼に献呈された。フルート、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン2の木管アンサンブルのために書かれ、現在までこの編成の貴重な財産となっている。また20世の“シンフォニエッタ”や“室内交響曲”先駆的作品ともみなされる。

 全体は4楽章で構成され、演奏時間は20分程度になる。「アダージョとアレグレット」「アンダンテ・カンタービレ」、「スケルツォ」アレグロ・モデラート、「フィナーレ」アレグレット、という交響曲的な楽章構成をとるが、グノーも敬愛したモーツアルトのディヴェルチメントやカッサシオンを彷彿させる簡明さが美しく息づいている。

 典雅な快活さや優美な響きに加えて、カンタービレでフルートが奏で始める旋律の魅力など、歌の作家としてのグノーの卓抜がさりげなく光る。演奏会の始まりの挨拶として、素的な眩さで聴き手を迎えることだろう。

ブリテン:フランク・ブリッジの主題による変奏曲

イギリスの作曲家ベンジャミン・ブリテンは1913年に生まれ、第2次世界大戦前に名声を博し、1976年にオールドバラで亡くなるまでに20世紀の音楽界に大きな存在感を示した。フランク・ブリッジ(1879~1941)は作曲家、弦楽器奏者、指揮者として活躍した先達で、ブリテン少年の資質を認め、厳しくその才能を育んだ最初の恩師だった。印象主義の影響を受けた作風でイギリスで広く親しまれるが、彼の交響組曲《海》(1910~11)がロンドンで初演されたのは、ブリテンが生まれる前年だ。ヴィオラを習い、作曲に興味を示していたブリテンがコンサートでこの曲を聴いて強い感銘を受けたのが10歳のときだったという。やがて彼の門を叩いて楽理や作曲の指導を受けるようになり、1930年にロンドンの王立学校に入学するまでその薫陶を受けた。「すべての音符を正確にするために、際限のない困難を課すことを彼に教わった」と語っているように、ブリッジのレッスンは厳格に若きブリテンを鍛えたようだ。

 変奏曲Op10はタイトルのとおり、ブリッジが弦楽四重奏のために書いた《3つの牧歌》(1906)の第2曲から叙情的な主題を採っている。・・・・・・

ビゼー:交響曲第1番ハ長調

 19世紀フランスに生きたジョルジュ・ビゼーは、1838年パリの生まれだから、ちょうど今年が170周年に当たる。世を去ったのは1875年、オペラ《カルメン》初演の3ヶ月後で、リューマチの発作がもとだった。鮮烈な色彩に溢れたオーケストラ音楽やオペラで広く知られるが、交響曲として後世に伝えられるのはこのハ長調の交響曲だけで、生涯に3曲を手がけたと推定されるがあとはおそらく破棄されたようだ。

 音楽家の両親のもとに生まれ、1848年に入学したパリ音楽院ではピアノとオルガンを学んだほか、後にはその娘婿ともなるフロマンタル・アレヴィ(1799~1862)に作曲を師事して、1857年にローマ賞を得た。音楽院のほかジメルマンに個人的に教えを受けていたが、その娘婿のグノーからも大きな影響を受けた。

 1855年、ビゼー17歳の誕生日の4日後に書き始められ、ひと月のうちにハ長調交響曲は古典派の様式で書かれた清新な作品で、グノーの作品をモデルにしたとみられる。しかしこの作品は未出版のまま置かれた。ビゼーの息子ジャックの親友だった作曲家レナルド・アーンからパリ音楽院図書館に寄贈され、やがてグラスゴーの音楽著述家D.Cパーカーが指揮者のフェリックス・ワインがルトナーに知らせ、その指揮で1935年にバーゼルで初演されるまで、作曲から80年近い歳月がかかった。

 スコアーはまずワインがルトナー校訂によりウイーンのアニヴェルザール出版が1935年に発刊した後、パリのシュダンス者が949年に出版している。当時のオーケストラは半音ペダルの開発されていないティンパニを2つ要するのが通例だったが、若きビゼーが効果を求めて記した自筆譜のティンパニ・パートについては演奏の実際上の問題からその扱いが問題となる。本日採用される前者の版では全体の和声構造を尊重して改変が加えられ、後者には自筆音符と修正が併記されている。

  曲は伝統的な4楽章でまとめられたが、習作的な内容にとどまらず、生命感や旋律の魅力に溢れ、生き生きとした光彩のうちにビゼーの天分を放っている。とくれば、簡明な構成感のなかで、KSTの自発的なアンサンブルが、まだハイティーンだったビゼーの青春を瑞々しい興奮とともに伸びやかに謳うこともことも自ずと期待されてくる。管弦楽は2管編成で書かれ、演奏時間はウニヴェルザール版の記すところでは30分。

 第1楽章はアレグロ・ヴィヴァーチェ、ソナタ形式で書かれ、主和音とその分散和音による第1主題と、オーボエが歌うなだらかな第2主題を主に織りなされていく。

 第2楽章はアダージョ、3部形式による緩徐楽章で、オーボエが奏でる主部のどこかエキゾティックな主題が、後に咲き誇るビゼーの天才を予見させる。

 第3楽章はアレグロ・ヴィヴァーチェのスケルツォ。活発なメヌエットと、ミュゼット風のトリオ部分とのコントラストが魅力だ。

 第4楽章はアレグロ・ヴィヴァーチェ、ソナタ形式のフィナーレ。ヴァイオリンが爽快に躍動する第1主題とこれに応じる木管の副主題、弦楽器が優美に歌う第2主題が多彩に織りなされて、躍動感溢れる盛り上がりをみせる。

《演奏者プロフィール》 コンサートマスター

青木高志(ビゼー)

 桐朋学園大学卒業。1999年より1年間ウイーンに留学。ウイーン・フィルコンサートマスターのライナー・ホーネック氏に師事。2000年までモルゴーア・クァルテットのメンバーとして活躍。現在、東京フィルハーモニ交響楽団のコンサートマスター。

玉井菜採(なつみ)(ブリテン)

 桐朋学園大学卒業後、スヴェーリンク音楽院、ミュンヘン音楽大学に学ぶ。プラハの春国際音楽コンクール第1位をはじめ、数々の国際コンクールに入賞している。平成14年度文化庁芸術祭賞を受賞。東京藝術大学准教授。

《レコード CDのこと》

ビゼー:交響曲第1番 ハ長調

 レコード、CDは自分の気に入ったものを聴いていればいいわけですが、私は若い頃からこの曲が好きで、昔から定評があっったビーチャム指揮フランス国立放送オーケストラのLPレコード、CDを聴いてきました。曲も演奏も、とてもチャーミングです。

 ほかにはクリュイタンス指揮フランス国立放送オケ、デュトワ指揮モントリオール響、ブラッソン指揮トゥールーズ・キャピトル劇場オケ、マルティノン指揮フランス国立放送オケ、ミュンシュ指揮フランス国立放送オケなどがあるようです。

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